『食卓の風景』

HOTSKY presents 熱空 公演
与謝野晶子作『第三者』より
構成・演出:釘本光
出演:矢口恵子、森下誠吾、佐藤嘉太、釘本光、まのり(映劇プロデュースAUDREY)、東條織江(㈱舞夢プロ)
於:阿佐ヶ谷 アートスペースプロット
観劇日時:2006/06/11 13:00
 



 
自分の妻以外に愛する人がいる、他の人に恋心を抱く。
倫理上は良くないとされる事だ。
でも、そうやって戒められている事自体、そういう事態に陥りがちである事を示している。
 
実際、それぞれの人に対して抱く好意はその人に向けての唯一つのもので、“あっちの人よりこっちの人に上等な好意を捧げる”というようにはいかない。
「あの人とわたしと、どっちの方がより好きなの?」という問いは、厳密には成り立たない気がする。
好きになってしまったものはどうしようもないのだ。
比べられるものじゃ、ない。
 
何というか、静かな芝居だった。
映画に例えるなら小津作品。
張りつめているわけではないが、圧迫感のある静寂が劇場に満ちている感じ。
劇場自体があまり大きくない上、客席の一部を削って舞台を張り出してあるため、ほんとに目と鼻の先で役者が演技をしていた。
なので、客の方も下手に身動きしちゃいけないような雰囲気があり、ちょっと息苦しかったかも。
 
知り合いの役者さんが客演していたのだが、所属する劇団とはかなり色が違う役どころで、新鮮だった。
やっぱり新たな一面を発揮する手っ取り早い方法の一つは、客演することのようだ。