「屍鬼(1)」読了。

前々から読みたいと思っていたのですが、なかなか縁がなかったこの作品。たまたま立ち寄ったブックオフで100円だったので買ってみました。
全5巻構成ということで、物語もじわじわゆっくりとしたペースで進んでいきます。
最初に物語の舞台である外場村の祭りの描写から始まって、村の立地、社会構成、歴史、人間関係などがぼちぼちと。
これぐらいのペースだと、二十人くらいの登場人物が入れ替わり立ち替わり登場しても何とか把握できます。
何より「十二国記」でもおなじみの小野不由美の得意技、キャラ立ての上手さはこの作品でも健在。
外場村という共同体の頂点に立ちながら、心にうろを抱えた住職、室井静信。村で唯一の医者として、村に静かに忍び寄る死の影に立ち向かう尾崎敏夫。それぞれの人生を抱えた老人達、しきたりと世間体、自分の生き方に追われる大人たち、そんな親を横目に自分の人生に一抹の不安を感じている子供達。
更にそこに突如入り込んでくる“異物”──桐敷家の人々。
それぞれの人物の描き方の上手さに感心しきり。
まだまだ物語は動き始めたばかり…のはず。もしかすると誰も知らないところで、もうすでに取り返しのつかないところまで転がってしまっているのかも知れませんが。