『2030・mother』

エルズ・ミュージカル
作・演出:湯田和人
出演:大越陽、野分ひさえ、谷口友佳子、高瀬つばさ、行村呈志、おびかね歌子、風谷ジュン、蒼木才造、三宅まつり、こずえかおるこ、松岡佐知子、椎名亜音(劇団6番シード)、かざり玲南
於:三鷹 武蔵野芸能劇場
観劇日時:2006/05/05 19:00



西暦2030年、クローン人間が合法化された世界。
「mother〜母なるもの」をテーマにした企画のオーディションの様子をミュージカル仕立てにした作品、ということらしい。
まぁ、かの『コーラスライン』と同系の構成と言えるだろうか。
 
で、見終わった時の感想もほぼ同じ。
つまり、「悪くはないけど、物足りない…」
最初から最後までオーディションで話が終わるので、それぞれの登場人物の背景や人となりなどは、断片的にしか見えてこない。
その一期一会感が醍醐味と言われればそうなのかもしれない。
 
が、今回はクローンという、本来母なる存在を持たないものが母を語るという部分に物語のポイントがあったはずで。
その存在の特異性なり、クローンというモノに対する周囲の反応なりといった世界観がイマイチ伝わってこないために、物語そのものの色も薄くなってしまったような印象がある。
2030年という近未来が舞台の割には、それを演出する舞台装置(セット・衣装・小道具)も特に見当たらなかったし。
その辺りが観客に伝わる仕掛けがしてあれば、もっと面白い舞台になったと思う。
 
ミュージカル自体見るのが久しぶりで、若干戸惑うところもあった。
でも、歌とダンスと芝居と、ほんとに総合芸術なんだと思う。
だからこそ、それぞれがかみ合ったときの相乗効果は素晴らしいものがあるのだろう。
その分、ハードルは高いけどね。