『ミルク・ラルク』

映劇プロデュースAUDREY
作・演出:Hiroka Denzy
出演:Hiroka Denzy、まのり、Ray、さりー
於:荻窪アール・コリン
 
4人で28役を演じる。
 
良くも悪くもこの大前提で説明がつく芝居。
 
A-GEKI(映劇)というこの劇団が目指す、視覚的エンターテイメント性はさすが。
セット中央に据えられた、四角い窓の開けられた3枚のパネルを、ある時は建物の一部に、そしてある時は映像作品でいうところのフレームとして使ってみせるアイデアは秀逸。
一秒で早着替えし、別の人物になりきるという荒業には感心しきり。
衣装やセットの工夫もさることながら、役者自身の切り替えもすごい。
特に、マフィアのボス(おっさん)と家出少女(当然女の子)を交互に演じて見せたさりーさんには拍手を贈りたい。
 
しかし、やはり4人で28役というのは無理があったのではないかと。
単純に物理的に。
せめてメインキャラ(神父・オカマ・家出少女・赤ん坊の母親・両マフィアの幹部及びボス)くらいは別々の役者で演じられれば。
いくらこの形式の芝居に慣れてるとはいっても、やっぱり着替えに手間取ったり、キャラの切り替えが上手くいかなかったり、進行に気を取られて肝心の芝居や科白がおろそかになってしまったり。
勢いだけでは持っていけない、荒さが目立ってしまった感じ。
その点が少し残念。
 
この劇団にしか出来ない、あの独特のドタバタ感を活かしつつ、もっと丁寧な造りの芝居を見てみたい。