『我、喰らう!』

弾丸MAMAER
新宿シアターモリエールにて。
オススメ度:☆☆☆☆★/煮込み度:☆☆☆☆/次回期待度:☆☆☆☆


とある居酒屋の店主と、そこにたむろする常連客。
生きるのに不器用な彼らは、ただ過ぎていく時間を浪費する自らの人生に疲れていた。
そんな生活を変えたい。
何か大きなことをやってやりたい。
そんな彼らの気持ちが一つになった時、彼らはとんでもない方向に暴走し始める。


池袋シアターグリーンでの初演から約2年ぶりの再演作品。
自分が弾丸MAMAERという劇団を知った作品でもあり、小劇団の面白さを知った作品でもあります。
そういう意味で、自分にとっては特別な作品です。
約2年ぶりにあの居酒屋が舞台上に再現されていたのを見たときには、ちょっと感動しました。
あれからいろいろあったからなぁ…。


初演と再演を両方見たのも、実は今回が初めて。
なんだかいつもと違う感じで楽しめました。
「あ、あったあった、こういうシーン」とか、「今回はそういう科白になったんだ」とか。
なんていうか、マニアックな楽しみ方ですな(笑)


弾丸MAMAERの最大の魅力、畳み掛ける会話のテンポの良さはやっぱり素晴らしかったです。
登場人物がかなり多いんですが、それぞれの役割分担がはっきりしていたのと、脚本の構成の上手さもあって、あんまりごちゃごちゃした印象もありませんでした。
特に今回光っていたのは、常連客の一人、原田役の海原さんと、居酒屋店主の姉の主治医、大和先生役の星野恵亮さん。
海原さんは、科白回しの組み立て方が面白かったです。最初の一言で観客を笑わせてました。
星野さんは、ここ何作品か客演されている役者さんなんですが、毎回ボソッと呟く科白が自分的にツボ。今回の「…何で渡したんだ…」はこの作品中3本の指に入る名科白でした。


その他の役者さんたちも、それぞれの個性を存分に発揮していて、そのぶつかり合いがお互いを潰すのではなく、よりお互いを、そして作品世界を高める方向に作用していて、見ているこっちも自然と引き込まれていきました。


初日に観たときには、若干演出やシーンの流れにミスがあったりテンポが悪いところも散見されましたが、翌日もう一度観に行ったときにはきちんと修正されていて、その点も感心しました。
千秋楽に向けてもっとレベルは上がって行ったのではないかと思います。
都合がつかず、後半は見られなかったのが残念です。


次回は12月に新作が予定されているそうです。
今から楽しみです。